粘土遊び、お好きですか?
私は嫌いです。
…タイトルに矛盾したコメントで申し訳ないのですが、実は粘土がとっても苦手です。とくに油粘土はどうしても好きになれずに大人になってしまいました。
しかし長男は粘土遊びが好き。
祖父母宅におじゃまして未開封の粘土を見つけると「一緒にやろうよ!!!」とぐいぐい押し付けてきます。
しばらくは「ママはやめとくよ」と逃げていましたが、可愛い息子と遊べなくてだんだんつらい気持ちが増してきました。
ダメな親だ…
そこで、「粘土ってすごい、私も子供と一緒にやりたい!」と思えるように、粘土遊びのすごさを調べたり考察したりしてみることにしました。
自宅で粘土遊びをする意味や注意点も一緒に考えてみました。
- 粘土遊びをするねらいがわかる
- 粘土遊びを家で実践することの意味がわかる
- 粘土遊びをするときの注意点がわかる
粘土遊びの効果6つ!
というわけで、保育・教育関係の本・論文をいろいろと探してみました。
結果、6つの効果がわかりました。
さまざまな感覚に働きかける
粘土遊びはさまざまな感覚を活性化することができます[1,2]。
素材の感触を楽しみ、いろんな形を作ることで感覚が豊かになっていきます。
粘土によっては独特の匂いがあることも。
日常生活でなかなか触れることのない粘土を扱うことで、感覚を豊かにすることができるのです。
指先が器用になる
粘土遊びは手指の機能の発達にも重要です。粘土は指を器用に動かす練習になるからです。
粘土を扱うことで欲しいだけの量をつまんだり、上手にちぎったり、何かの形を作ったりとさまざまな動きが必要になります。細かい動きは手指の巧緻性、つまり指を器用に動かす力を高めてくれるのです。
幼児は数を数えるのに指を使います。手指の巧緻性は数の認識や計算能力とも関係していることが報告されているのです[3]。
粘土遊びって知育にもいいのね!
両方の手を別々に動かして上手に使えるようになる
粘土遊びをすることで手も上手に使えるようになります。一つの目的のために両手で別々の動作をする必要があるからです。
例えば、片手に粘土・片手にヘラなどの道具を持って模様をつけることで両手で違う動作をする練習が自然にできます。
両手を別に動かして一つのことを成し遂げようとするチャレンジは3歳ごろから始まります[1]。4歳ごろには急激に上手になるのだそうです[4]。
空間認識能力を育むことができる
粘土で遊ぶことは空間認識能力を育むことに役立ちます[2]。
空間認識能力とは3Dの世界で、物の位置やその状態を正しく把握する能力です。例えば地図を読んで道を理解することや、飛んできたボールを取ったり打ったりすることに役立ちます。
粘土遊びは立体のものを扱うため、自然と空間の概念を育むことができるのです。
発想力を広げられる
粘土で作ったものを意味付けする見立て遊びで発想が広がります。
「見立て」は2歳ごろから始まります。粘土は自由度が高く、いろいろな形にすることができるので「見立て」遊びにぴったりです[1]。
こころを表現し、創造性を豊かにする
粘土で自分の自由につくりたいものをつくるのはこころの「表現」につながります[5]。「表現」することは保育活動でもとても大切にされているものの一つです。
確かに、まだ上手にしゃべれなくっても粘土で表現することはできますね!
粘土遊びを通して、表現することで創造性を豊かにすることができるのです。
また、創造することの楽しさを知るのにもつながるでしょう。
「おうちで粘土遊び」をするメリット
ただ粘土が子供の発達にとって良いだけなら、わざわざ家でする必要はありません。
保育士さん・幼稚園の先生におまかせで良いはずです。
大切なのは、なんで「私が」「家で」やらなきゃいけないかってこと!
親子のコミュニケーションツールに使える
粘土遊びを通して子供とコミュニケーションをとることができます。
作ったものから話を広げてみたり、一緒に一つのものを作りあげてみたり…
粘土遊びを通して、普段とは違った形での子供とのコミュニケーションが楽しめるかもしれません。
保育園・幼稚園と違った種類の粘土で遊べる
さまざまな種類の粘土が市販されています。
- 油粘土
- 紙粘土
- 土粘土
- 砂粘土
- 小麦粘土
- 米粉粘土
- 寒天粘土
- 蜜蝋粘土
- シリコン粘土
などなど
種類が違えば触感もにおいも違うのでより感覚を活性化してくれるでしょう。
素材に合わせた力の使い方をするので、手指の力のコントロールの発達も期待できそうです。
自分がとっても苦手だったのが油粘土だとわかりました。
油粘土が苦手でも、他のが触れるかもしれない!
おうちで粘土遊び、気をつけることは?
粘土遊びをする際に、安全に楽しく遊ぶために配慮するべきことも一緒に調べたり考えたりしてみました[1,6]。
粘土の種類を考える
子供にあわせて粘土の種類を考えていく必要があります。
パッケージなどに記載されている対象年齢も一つの目安になりそうです!
年齢によってはお口に入れてしまうかもしれません。その場合は食品由来のものだと安心です。
また、小麦アレルギーの子は小麦粘土は避けたほうが良いでしょう。
粘土の種類によっては汚れても良い服を用意する
くっつきやすい粘土の場合は、汚れても問題がない服を選んでおく必要があります。
粘土がついた手で子供がひっついてくるかもしれないので…
大人も汚れても構わない服を着ていたほうが良いかもしれません!
粘土板などを使ってスペースを確保する
環境設定も必要です。周りを汚さないように、新聞紙・マットを敷いたり粘土板を用意したりして遊ぶスペースを確保しましょう。
決まった場所で遊ぶ、ということをしっかり子供と確認して、楽しく遊べるといいですね。
粘土や道具の安全性を確認する
粘土の中に異物が入ってないか、道具が割れたり欠けたりしていないか注意が必要です。
安全性がちゃんと確保されてこそ楽しく遊べると思います!
保管場所や方法を考える
遊ぶ前に、どこにどうやって保管をするかを考えておく必要があります。
せっかく粘土を買うなら、一回で終わらせずに何度も遊びたいですよね。
繰り返し使うにはどうしたらいいか、粘土の説明書などを確認しましょう。
粘土と友達になれるかな…?
粘土遊びをすることで子供の発達にとって多くのメリットがあることがわかりました。
- さまざまな感覚に働きかける
- 指先が器用になる
- 両方の手を別々に動かして上手に使えるようになる
- 空間認識能力を育むことができる
- 発想力を広げられる
- こころを表現し、創造性を豊かにする
今回しっかりと調べられたのはこの6つですが、おそらく他にも集中力や造形を楽しむことなども粘土遊びをすることでねらえる効果になるだろうと思います。
家で粘土遊びをすることで、遊びの幅は大きく広がります。粘土の効果もよりあらわれやすくなるでしょう。
もちろん無理する必要はないと思いますが、可能ならおうち遊びにも取り入れてみていいかもしれません。
いろいろわかったので、自分が使えそうな粘土を探して子供と遊んでみています(油粘土以外ですが)。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
参考にした文献・Webサイト
[1] 河原紀子:監修・執筆, 港区保育を学ぶ会:執筆. 0歳〜6歳 子供の発達と保育の本 第2版. 学研. 2018年.
[2] 武末裕子, 古屋祥子(2021). 粘土による造形活動の有効性について-「手でみる彫刻展」ワークショップおよび幼児・児童造形事例から-. 教育実践学研究. 26: pp.115-124.
[3] 浅川純司, 杉村伸一郎(2011). 幼児期における計算能力と手指の巧緻性の特異的関係. 発達心理学研究. 22(2): pp130-139.
[4] 片岡章彦(2019). 4歳児の手先の巧緻性と協応動作の育ち : 自由遊びにおける「製作遊び」での1年間の事例から. 大阪総合保育大学紀要. 14: pp59-68.
[5] 山田眞理子(2019). 芸術療法:その近接領域としての保育-乳幼児期の発達を保障する芸術活動-. 臨床精神医学. 48(3): pp403-408.
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 私も粘土が苦手なママですが、粘土遊びの効果を期待して子供と粘土で遊びはじめました。 […]
[…] どのみち私、油粘土だけはどうしてもさわれないのです。匂いが苦手な方も多いと思うので今回はパスで…。 […]